春は朝

『春眠暁を覚えず』は孟浩然(もうこうねん)の読んだ『春暁(しゅんぎょう)』の冒頭です。「春になると暖かくなり、うたた寝をしてしまうこと」ととらえがちですが、春暁は春の明け方のことです。現代語訳では「春の眠りは心地がよく、夜が明けたのにも気づかないほどだ」となります。

 また、『春はあけぼの。ようよう白くなりゆく』と清少納言が枕草子で読んでいます。「春は夜が明けようとする頃が良い。日が昇るにつれてだんだんと白んでいく」という意味です。昔から、春の朝は特別なものだったのでしょうね。

 東洋医学でも春と朝は関連します。陰陽五行説というものがあるのですが、すべてのものは陰陽と五行(木・火・土・金・水)に分類できるという説です。その中で春は木に属します。木の時間は明け方です。朝は1日の始まりで、春は1年の始まりです。春の朝とは始まりを表していると言えそうですね。暦では2月の立春からを春と言います。3月になると日が長くなってきますが、夜明けも早くなります。実際に兵庫県の夜明け時間を調べてみると、日中が一番短くなる冬至では7時3分で、春分になると6時4分です。1時間は違います。寒さも和らぎ、幸せな気分になります。朝日を浴びに散歩するのもいいですね。

 話は変わるのですが、朝日にはセロトニンを増加させる効果があります。セロトニンは心のバランスを整えてくれる物質です。ストレスがかかると交感神経が活発に働き、ノルアドレナリンという興奮性の神経伝達物質が放出されます。それを抑える働きをしてくれるのがセロトニンです。ストレスがかかっているなと思う時は少し早起きをして、朝日を浴びに出かけるのもいいと思います。春の眠りが心地よい人はカーテンを開けて、朝日を浴びながら目覚めるのもいいでしょうね。それぞれの春暁を楽しんでください。