見えない力

春を告げる奈良東大寺二月堂の修二会。天平勝宝4(751)年から始まり、今年で1270回を迎えます。テレビのニュースでも見られるお水取り、お松明とも言われる行事が有名です。正式には「十一面悔過(じゅういちめんけか)」と言い、われわれが日常に犯しているさまざまな過ちを、二月堂の本尊である十一面観世音菩薩の宝前で、懺悔(さんげ)することを意味するそうです。二月堂も旧暦2月に修二会が執り行われていたことが由来だそうです。

東大寺が建立された奈良時代は天皇を中心とした律令国家が成立し、東北から九州までを支配していました。そのころ、飢饉や疫病、天災が続き、国を守るために各地にお寺が建てられました。修二会も十一面観音菩薩さまに日ごろの過ちを悔い、疫病などから守ってもらうために現在まで、絶えることなく続いている行事です。今の世でも疫病が流行り、飢饉とは言えないですが、経済的に不安定となり、地震などの災害が起こっています。人々の幸せを祈って今年も修二会は執り行われます。目に見えない力で守ってもらうこと、これも『気』だと言えます。

さて、新型コロナウイルス感染症の第3波も下火になりつつあります。ワクチン接種も始まり、また新たなステージへと向かうのだと思います。開催延期となったオリンピック・パラリンピック東京大会も開催へ向け世の中を賑わせています。前組織委員会長の発言により、女性の会長が就任しました。日本における女性の立場はまだまだ男性と対等ではありません。筋肉量、ホルモンバランス、生殖器など生命が発現した時から性差はあります。そんな当たり前の違いですら、差別が生まれる。障害、人種、年齢、経歴、今ならコロナ感染など違いがあればより差別が助長される。そこによい気が流れるはずはないです。 うちにも十一面観音菩薩さまがおられます。女性とも男性とも思われる立ち姿がとても美しいです。目に見えない力で守ってもらっています。上も下もなく、認め合える優しい気で満ち溢れた世の中になって欲しいです。